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ドクターに聞く歯列矯正|なかなか歯が動かない「アンキローシス」って何?

葛西モア矯正歯科 コラム編集部です。

「歯列矯正で、歯がなかなか動かない」という声を聞くことがありますが、どんな原因が考えられるのでしょうか。また、歯がまったく動かない「アンキローシス」という状態があることをご存知ですか?

今回は、歯が動かない理由と「アンキローシス 」について、酒井院長が分かりやすくご説明します。

歯がなかなか動かない原因はおもに「舌癖」「咬合力の強さ」「アンキローシス」の3つ

―歯列矯正の治療を開始したのに歯が動かない場合があるというのは、本当ですか?

歯の移動する速度は個人差が大きいものですが、歯が移動しにくい人、そして、まれに、まったく動かない人がいます。主な原因は以下の3つです。

(1)「舌癖(ぜつへき)」がある
(2) 強い「咬合力(こうごうりょく)」がかかっている
(3) 歯が「アンキローシス」している

(1)(2)は通常よりも歯が移動するスピードが遅く、(3)の場合は歯が完全に動かないこともあります。

―聴き慣れない言葉ばかりです。 まず、「舌癖」とはなんですか?

「舌癖」とは、無意識のうちに舌を歯に押し付けるなど、舌のクセのことです。歯列矯正は、動かしたい方向に向けて力をかけることで歯を引っ張ります。動かしたい向きと逆の方向に押す舌癖がある場合、矯正でかける力を打ち消してしまうので、歯がなかなか動かないのです。

例えば、「空隙歯列(すきっ歯)」「開咬」「上顎前突(出っ歯)」の人は、歯を舌で外側に押してしまう舌癖があることが珍しくありません。そして、この舌癖は、気をつけていても止めるのが難しいものです。

不正咬合の種類

―では(2)の「咬合力」とは、どういうものですか?

「咬合力」とは、噛む力のことです。集中しているときや寝ているときなどに、歯を食いしばるクセのある人がいます。そうすると、歯に強い咬合力がかかるため、「舌癖」の場合と同じく矯正でかける力を相殺してしまい、歯が移動しづらくなるのです。

これが当てはまりやすいのは、噛み合わせが深く、噛んだ時に下の前歯がほとんど見えない「過蓋咬合(かがいこうごう)」の人です。

過蓋咬合の歯

自覚症状なし!歯が動かない「アンキローシス」にいつの間にかなっていることも

―歯がまったく動かない「アンキローシス」とはどんな状態ですか?

アンキローシスは歯と骨の間に存在しているはずの歯根膜(しこんまく)がなく、歯の根っこと骨(歯槽骨)が直接、結合している状態をいいます。

歯根膜と歯槽骨を示す絵

歯根膜とは、歯と骨の間にあるクッションのような柔らかい組織で、歯と骨をつないだり、歯の周りの組織に栄養を運んだりしています。なんらかの原因で歯根膜がダメージを受けて損なわれると、歯根膜を介さずに、歯と骨がじかに接する状態になり、そのままくっついてしまいます。これがアンキローシスです。

―アンキローシスになるとどんな問題が起こりますか?

歯と骨という非常に硬いもの同士が一体化しているため、矯正の力をかけても歯は動きません。他の歯は移動しているのにアンキローシスの1本だけが動かない、ということが起こるのです。

大人の場合、アンキローシスが問題になるのは通常、歯列矯正を行うときだけです。痛みや違和感を生じることもないので、日常生活に問題はなく、自分で気づくこともまずありません。

―アンキローシスになる原因を教えてください

アンキローシスの原因は特定できないことが多いのですが、歯根膜を損傷する原因として「口の中の外傷」があげられます。

「歯が抜ける」などの大きな衝撃を受けた場合はもちろん、ちょっとした外傷でも、歯根膜が傷つく事があります。また、子どもの時に乳歯をぶつけたことが原因で、後に永久歯がアンキローシスを生じてしまうことがあります。

ただし、アンキローシスが起こる頻度は決して高くはありません。当院では、これまで診察した2000人の患者様の中で4人だけでした。

―「アンキローシス」は歯列矯正を開始する前にわかりますか?

ある程度の予測はできますが、確定診断ができるのは、矯正を始めて2〜3ヶ月後です

アンキローシスを診断するには、「レントゲンを撮って歯根膜の状態を確認する」「歯を叩いた時の音を確認する」などの方法があります。ただし、これらの検査や診察だけで正確な判断することは困難です。最終的には「矯正の力をかけても歯がまったく動かない」という事実をもって、診断するケースが一般的だと思います。
レントゲン撮影する女の子

アンキローシスで歯が動かないときの歯列矯正治療

―アンキローシスしている歯が見つかったら、歯列矯正はできないのですか?

アンキローシスしている歯がある場合も、歯列矯正は続けられます。ただし、当初の方針のまま治療を継続するのではなく、到達可能なゴールを再設定し、治療の方向性を修正する必要があります。アンキローシスしている歯以外の歯は歯列矯正で並べますが、アンキローシスの歯には、特殊なアプローチが必要になってくるからです。
歯の模型で説明を受ける女性

―アンキローシスを起こしている歯には具体的にどんな対応をしますか?

一般的には、次の順番で対応します。

1. 歯に矯正の力をかけてみる
2. 脱臼を起こさせ、歯列矯正ができる状態にする
3. 歯列矯正以外の方法による治療を行う

時折、1本の歯でも、根っこのすべてがアンキローシスしているのではなく、正常な歯根膜が部分的に残っていると思われるケースがあります。このような場合、何かの拍子にアンキローシスしていた部分がはずれれば、歯が動き始める可能性があるのです。そのため、まずは歯に矯正の力をかけて、様子を見るのが第一選択です。

歯根膜の状態はレントゲンだけでは判断が難しいので、「動かしてみないとわからない」のが実情です。

―それでも動かない時には「脱臼」になるのですね

そうです。「関節が脱臼した」と聞くことがあると思いますが、歯にも「脱臼」があります。あえて脱臼を起こして歯をグラグラの状態にすることで、アンキローシスしている歯を動かせる場合があります

「歯の脱臼」という耳慣れない言葉に、不安を抱かれる方もいるかと思いますが、この処置は口腔外科で行います。

そして、脱臼を起こしても動かせなかった歯は、歯列矯正以外の方法で対応する必要があります。

―その場合はどんな治療をするのですか?

アンキローシスしている歯にかぶせものをして歯の形を修正する、または、抜歯してブリッジやインプラントを入れるなどします。これらを行うのは、アンキローシスした以外の歯を歯列矯正で並べ終わった後です。

具体的な対応方法は、アンキローシスしている歯の位置によっても変わりますが、歯列矯正で動かせない歯があるからといって、歯並びを整えないまま、歯列矯正の治療を終えることはありません。当院の場合、処置ができる別の病院を紹介させていただいたうえで、連携しながら、整った歯並びを手に入れられるよう責任を持って治療をサポートします。

診察台で治療中の女性

―歯列矯正で歯がなかなか動かない原因がよくわかりました!

歯列矯正で歯が動かない時には不安を感じると思いますが、理由は人それぞれですので、担当医に質問されることをおすすめします。

アンキローシスは非常にまれではありますが、歯列矯正にともなう代表的なリスクの1つですので、ぜひ知っておいていただきたいものです。歯列矯正をスタートする際には、現在のご自身の状況や考えられるリスクをご理解いただいた上で、治療にのぞんでいただければと思います。小さな疑問でも、お気軽にご相談ください。

葛西・西葛西エリアで歯列矯正のご相談は葛西モア矯正歯科へ

葛西モアモニュメント

江戸川区にある葛西モア矯正歯科では、日本矯正歯科学会の認定医が診察をいたします。

「日本矯正歯科学会」公認の認定医がいる葛西モア矯正歯科
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この記事の監修医師

葛西モア矯正歯科 院長 酒井 優真

葛西モア矯正歯科 院長

酒井 優真

Yuma Sakai

  • 日本矯正歯科学会 認定医

日本全国の歯科医院で矯正治療に従事。2017年、葛西駅前に「葛西モア矯正歯科」を開院。

歯列矯正への心理的ハードルを下げるべく、「治療中の見た目」に配慮した治療に力を入れている。


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